更年期のつらい症状は、起こったとしてもやがておさまります。日ごろから心がけられること、治療法などを知り、少しでも快適に乗り切る工夫を。
不調を改善するのに生活習慣の見直しはかかせません。更年期も同じ。バランスのよい食事、適度な運動、規則正しい睡眠がとれるように心が
けましょう。また趣味などを見つけるのもおすすめです。
ダイエットやストレス、過労、激しい運動、喫煙は症状を悪化させます。
「閉経」が近づくと、規則的に分泌されていた女性ホルモンが徐々に減少します。それにより心も体もバランスを失い、さまざまな不調に悩まされることも。閉経の前後を「更年期」と呼びます。だれもがむかえる更年期について知っておきましょう。
加齢とともに徐々に月経周期が乱れて不規則になり、やがて完全になくなって「閉経」をむかえます。閉経の時期は人によって違い、日本人の平均的な閉経年齢は、50歳ごろ。閉経をはさんだ前後10年間を「更年期」といいます。更年期になると個人差はあるものの、のぼせや不眠、イライラ、めまいなど、さまざまな不快症状があらわれます。
更年期症状のおもな原因は、ホルモンバランスの乱れです。閉経が近づくと、脳の視床下部からの指令を受け、規則的に分泌されていた卵胞ホルモン(エストロゲン)が、卵巣機能の低下により分泌されなくなるため、エストロゲンを分泌させようと脳から卵胞刺激ホルモン(FSH)が過剰に分
泌されるために起こります。
更年期でも、ほとんど不快な症状がなく軽い人もいれば、重い症状に悩まされる人も。症状が重く、日常生活が困難になり治療が必要な状態を更年期障害と呼びます。更年期をむかえた女性のうち、更年期障害と診断される人は2~3割。几帳面で完璧主義の人ほど症状が重くなる傾向があるようです。症状が重くなる前に婦人科などで相談して。
人や物の名前など、「知っているのに出てこない」という経験は、若い世代でもあることです。それが年齢とともに増えていくのは、脳の学習・記憶能力と関係している、シナプス伝達能力が老化していくためだといわれています。
また卵胞ホルモン(エストロゲン)の減少も、脳の働きを低下させて物忘れの原因になります。そのため閉経をむかえてエストロゲンが急激に減少すると、物忘れをしやすくなります。
忙しい毎日が続き、肉体的にも精神的にも疲れがたまってくると、脳も疲れてうっかりミスが多くなります。これは物忘れというよりは、集中力の低
下によって起こりがちです。
たまっているストレスも脳に悪影響をおよぼします。オーパーワークが続いたときは、思い切って休暇をとり、体も脳も休めてあげましょう。
物忘れはだれにでもあることですが、まれにそれが認知症の初期症状としてあらわれていることがあります。加齢などによる物忘れは、ヒントをあ
げると思い出すことができ、自分でも物忘れをしていることを自覚することができます。
それに対して病的な物忘れは、新しいことを記憶する能力が低下し、同じことを何度も聞いてしまう傾向が。また、自分が物忘れをしていること自体を自覚できません。
分の物忘れが気になる場合やまわりの人に指摘を受けた、物忘れがひどくて日常生活に支障があるなどの場合には、一度「物忘れ外来」を設けている病院などを受診して相談してみるとよいでしょう。
月経前になるとホルモンバランスが大きく変化して、心が不安定になります。イライラがつのり、そのはけ口としてついつい食べすぎてしまう人も多いようです。でも、月経がはじまればイライラがおさまり食欲ももとにもどるようなら、一時的なことなのであまり心配はありません。
食べすぎによる体重増加が気になるなら、カロリーオフのキャンディやガムで気をまぎらわせるなど、口に入れるものを工夫して乗り切りましょう。
疲れから食欲がなくなることも
悩みごとをかかえていたり、体が疲れすぎているときは食欲がなくなるものです。しっかりと休息をとって、心と体をまずは元気にしてあげましょう。
胃腸などにトラブルがあって食欲がなくなることもあります。食欲がなくてやせてきたときは、念のために内科を受診して、相談してみるとよいでしょう。
「やけ食い」という言葉があるように、ストレスから過食になる女性は少なくありません。もちろんやけ食いすることで、ストレス解消になり気持ち
もすっきりするのなら、たまにはいいかもしれません。でも日常的になると、それがきっかけで食欲のコントロールがきかなくなることがあるので要注意。食べすぎたことに罪悪感を覚え、食べたものを無理やり吐き出したり、下剤を飲んで出そうとするなど異常行動に走ることがあるからです(過食症)。また、ダイエットをきっかけに、極端な食事制限をしてしまい、体重増加への恐怖心から食べ物を受けつけられなくなることもあります(拒食症)。
このような食欲の異常は「摂食障害」といって、過食症と拒食症の症状が単独であらわれたり、両方の症状をくり返すケースがあります。
月経前になると、イライラしたり、ちょっとしたことでカッとなる、気分が沈みがちになるなど、心が不安定になりがちです。これは月経前症候群(P
MS)といって、月経前に急激に黄体ホルモン(プロゲステロン)が増えて、ホルモンバランスが変化することが原因です。自分で感情のコントロールができないほど不安定なときは、婦人科や女性外来で相談してみるとよいでしょう。
思春期や更年期などの、ホルモンバランスが安定しない時期にも、感情の起伏が激しくなりがちです。
月経周期に関係なく、気分の落ち込みが激しい場合は、うつ病の可能性もあります。多くのストレスをかかえている現代人に増えている心の病気です。
うつ病になるきっかけは、会社での人間関係や、恋愛間題、家族の間題など人それぞれ。脳内の神経伝達物質セロトニンやアドレナリンの減少が関係しているともいわれています。
症状の出方にもいろいろなケースがありますが、気持ちの落ち込みが強くなるのが特徴的。正常範囲での落ち込みとの見分けは難しいところですが、下記の症状が2週間以上続くときには、精神科や心療内科を受診して相談するとよいでしょう。
仕事や家事、勉強など、やらなくてはいけないとわかっていても、やる気になれない……、そんな経験はだれにもあるはずです。
まずは何かやる気を失わせているのか、その原因を考えてみましょう。睡眠不足、失敗経験や人間関係のトラブル、環境の変化など、何か心当たりはありませんか。
肉体的な疲労やさまざまなストレスから逃避したくて、やる気をなくす場合があります。「やらなくちや」とあせればあせるほど、それがストレスに
なって、よけいに体が動かなくなってしまうことも。疲れた体にムチ打つ前に、自分白身をじっくり見直してみましょう。
やる気が出ないというのは、原因となる病気が潜んでいることもあります。たとえば女性に多い貧血もそのひとつ。自分では気づいていなくても過多月経から貧血になっている場合があります。
貧血があると、体が疲れやすくなり、その結果やる気が出ない、なかなか体が動かないといったことに。やる気が出ないのではなく、体がやる気を出せない状態になっているのです。
ほかにも甲状腺の機能に間題があったり、うつ病、自律神経失調症などの病気が原因で、やる気が出ないこともあります。
夜更かしした翌日の日中つい居眠りしそうになったり、食後に眠くなるというのはよくあること。でも、睡眠時間は足りているのに、昼間に強い眠気におそわれる場合、過眠症という病気が原因かもしれません。
過眠症のひとつにナルコレプシーという病気がありますが、居眠り病ともいわれるこの病気は、日中に強い眠気におそわれ、大切な会議の途中や、デートの最中などでもおかまいなしに睡眠発作が起こります。
睡眠中に周期的に無呼吸になる、睡眠時無呼吸症候群という病気でも、昼間に強い眠気が起きることがあります。これは自分では気づけない病気で、寝ているときの呼吸がおかしいとか、激しいいびきなどを家族に指摘されて、病院を受診する人が多いようです。
睡眠時間が足りているのに、慢性的に日中に強い眠気がある場合は、睡眠障害の専門医を受診して調べてもらうとよいでしょう。
眠気は月経周期とも関係があります。排卵後には黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が多くなりますが、この女性ホルモンには妊娠しやすいように体を休ませる働きがあります。そのため月経前の黄体期は眠気を強く感じるわけです。
自分の眠気が月経サイクルによって変化しているかをチェックしてみると、PMSの症状として眠気が強くなっているかがわかるはずです。
ちょっと階段を登ると動悸や息切れがする、これらは加齢や運動不足などで比較的多くみられる症状です。心臓などの循環器トラブルがある人は、動悸が病気のサインとしてあらわれることがあります。
動悸が気になる場合には、不整脈がないかなど、一度内科などで検査を受けてみるとよいでしょう。
更年期になるとホルモンバランスが乱れ、さまざまな不快症状があらわれます。動悸や息切れもそのひとつで、これは脳から分泌される性腺刺激ホルモンの量が増えることにより、血流が増えて心臓の動きが活発になるために起こります。
更年期の動悸は、一時的なもので長く続くものではありませんが、つらい場合には婦人科や女性外来で相談するとよいでしょう。
体に皿ハ常はなくても、不安や緊張を感じたときに激しい動悸がすることもあります。これは心のトラブルが体のトラブルとなってあらわれているもので、日常生活のさまざまなストレスが原因となって起こります。
とくに若い女性は、ストレスが強くなったときに動悸が激しくなり、息苦しさから速い呼吸をくり返して過換気症候群になってしまうケースが多くみ
られます。
パニック障害も若い世代に増えている心の病気です。突然不安や恐怖におそわれ、動悸や冷や汗、めまいなどが起こります(パニック発作)。一度発作が起きると、次にまた起きるのではと不安になり、そのストレスが次の発作の引き金になることも。
パニック障害は自分で治せるものではないため、精神科や心療内科などの専門医の治療が必要となります。
不安でたまらなくなることは、多かれ少なかれだれにもあること。現代のようなストレス社会では増えている症状で、男性よりも女性のほうが多いといわれています。
繊細な人やデリケー卜な人、周囲の目を気にする人、まじめで几帳面な人ほど、不安感を抱きやすい傾向があります。
強い不安がいつまでも続くときは、全般性不安障害という病気が原因となってあらわれている不安症状のことがあります。
全般性不安障害は日常のストレスが原因で発症することもあります。集中力の低下やイライラ、落ち着きがないなどの精神的症状と、頭痛や肩こり、動悸、めまいなど体の症状があらわれます。
体の不調があって、いろいろな検査をしても不調の原因が見つからないときには、心療内科などで相談してみるとよいでしょう。
子どもの独立によって生きがいを失った喪失感、自分の体力の衰え、夫婦関係や、これから先の人生への不安など、さまざまな悩みをかかえる時期が更年期です。そこに女性ホルモンの乱れが加わり、精神的にも肉体的にも不調があらわれます。不安感がどんどん強くなり、うつ状態になる女性も少なくありません。
不安感や気持ちの落ち込みなど、うつ状態がつらい場合には、婦人科や女性外来を受診しましょう。
仕事や家事、子育てなど、がんばりすぎて、疲れをため込んでいませんか? 体が疲れているときは、心も疲れているもの。イライラがつのってきたら、ストレスがたまってきたサインです。ストレスは自律神経の調節を乱し月経不順や無月経などの婦人科のトラブル、自律神経失調症やうつ病などの心のトラブルを引き起こします。
忙しくて時間がとれないと決めつけずに、イライラしている自分に気づいたら、リフレッシュできる時間を意識的につくりましょう。自分のために楽
しめる時間がもてることは、ストレス解消になってイライラも減ってくるはずです。
月経前にイライラする人は多いものです。このイライラは月経前症候群(PMS)の症状のひとつで、排卵後に黄体ホルモン(プロゲステロン)が急増することが原因です。完璧主義、几帳面、負けず嫌い、そんな女性ほど症状が強く出る傾向があります。
イライラが強いときには、婦人科で相談してみましょう。ホルモン量を調整する低用量ピルで症状を改善させることができます。また「抑肝散」、「当芍薬散」、「加味逍遥散」などの漢方薬も有効とされています。
更年期の症状として、イライラがあらわれることもあります。卵巣機能が低下してくるこの年代の女性は、女性ホルモンの分泌量が減ることで、精神的に不安定になりがちだからです。この場合も婦人科で相談しましょう。症状の強さによっては、足りなくなっだホルモンを摂取するホルモン補充療法(HRT)などを行うことがあります。